先日、富山県に住む知人と会話していて、「サスの昆布締め」なるものを知りました。私も食べたことはないのですが、サスとはカジキマグロのことだそうです。昔からある富山の郷土料理で保存食として今でも地元ではスーパーなどで年中売ってるそうです。昆布には旨味成分グルタミン酸が豊富…そこでふと思ったんです。
――「味覚って、感情や体調にもすごく影響してるなぁ」って。
味を感じるとき、私たちはただ“舌”で味わっているのではありません。
実は、味覚の情報は脳の感覚野に伝わり、過去の記憶や感情と結びついて 「おいしい」「しあわせ」「ホッとする」などの感覚として広がっていくのです。
たとえば、疲れているときに甘いものを食べるとほっとしたり、 体調が悪いと、いつも好きなはずの味がピンとこなかったり……
これは神経系と味覚、そして感情の連動なんですね。
東洋医学でも、味覚は「五味」といわれる5つの味に分けられ、 それぞれにからだへの働きがあると考えられています:
- 酸味:肝を助け、引き締める働き
- 苦味:心を鎮める
- 甘味:脾を補い、緊張を緩める
- 辛味:肺を開き、巡りをよくする
- 塩辛味(鹹味-かんみ):腎を助け、潤す
その日の気分や体調によって、欲しくなる味が変わるのは、 からだが“自分に必要なバランス”を感覚で教えてくれているサインかもしれません。
そして、味わうことそのものが、自律神経を整える行為でもあります。
丁寧に味わい、ゆっくり噛むことで、 副交感神経が働き、心が落ち着き、消化吸収も良くなります。
「味わうこと」は、五感と神経、そして心を整える第一歩。
これからの食事の時間が、もっと自分を大切にするひとときになりますように