私たちの体の中で、一番外にあって一番敏感な場所――それが皮膚です。
実は皮膚は、ただの“覆い”ではありません。
外界からの刺激をキャッチし、自律神経や脳神経にも影響を与える、
まさに「第2の脳」と呼ばれる存在です。
特に、
- 更年期などのゆらぎ期
- 頭痛
- 肩こり
- 倦怠感
といった、自律神経が乱れやすい不調があるときには、
皮膚の感受性が高まりやすくなります。
強い刺激には防御反応が働き、
脳は「これは危険かも」と判断してしまうことがありますが、
やさしい刺激は逆に「安全で心地よい」と感じ取り、
脳や自律神経が安心して整いはじめるのです。
私がよく使うのは、刺さない鍼「FTA(Fine Tapping Acupuncture)」。
皮膚に触れるだけのような微細な刺激でも、
皮膚はそれを“意味ある情報”として受け取り、
神経系に信号を送って体内のバランス調整を始めてくれます。
皮膚は、心と身体をつなぐアンテナであり、
世界と交信するセンサーでもあります。
やさしく触れる、そっと刺激する、
その一手が、脳とからだの深部に変化をもたらす――
鍼灸の力は、そんな静かな奇跡を支えてくれています。